政府の賃上げ要請だけでは生活は楽にならない?物価高と社会保険料が重荷に

2025年8月、石破政権は企業に対し、再び賃上げの実施を強く求める方針を打ち出しました。NHKの報道(参照)によると、賃上げの目的は、デフレからの脱却と、物価高に苦しむ家計を支えるため。しかし、ヤフーニュース(参考記事)では、国民の多くが実質的な生活改善を実感できていないとしています。

なぜ賃上げだけでは足りないのか?

確かに表面上は給与水準が上がっているように見えますが、実態はそう単純ではありません。実質賃金(物価上昇を加味した賃金)は伸び悩み、生活の質が改善されたとは言い難いのが現状です。賃上げ分が、電気代、食品、ガソリン、住居費などの高騰に打ち消されているためです。

見落とされがちな「社会保険料」と「消費税」の負担

さらに見逃せないのが、社会保険料と消費税の負担増です。例えば、年収500万円のサラリーマン家庭では、毎月の厚生年金保険料や健康保険料だけで数万円が天引きされており、実質的な手取りは年々減少傾向にあります。加えて、消費税10%がすべての購買にかかるため、支出に対する負担感はより大きくなっています。

政府が賃上げを推進しても、社会保険料率が引き上げられれば、結果的に手取りが減少するという皮肉な状況も生まれています。これでは生活が「楽になる」どころか、むしろ苦しさが増すばかりです。

「手取りを増やす」政策への転換を

本当に国民の生活を豊かにしたいのであれば、「賃上げ」だけに頼るのではなく、手取り収入を実質的に増やす施策が必要です。たとえば、以下のような方向性が考えられます:

  • 社会保険料の上昇抑制または一部減免
  • 消費税率の引き下げや軽減税率の適用拡大
  • 低所得者層への給付金や税額控除の拡充

特に少子高齢化が進む日本において、若年層や子育て世代の可処分所得を増やすことは、消費の活性化と経済成長に直結します。

企業だけに負担を押し付ける限界

もちろん企業による賃上げ努力も必要ですが、それを政府が要請するだけでは、労働者の真の生活改善には結びつきません。特に中小企業では、賃上げの原資を確保すること自体が困難であり、政府が財政的・制度的支援を併せて行わなければ意味をなしません。

生活者目線の経済政策を

いま求められているのは、「企業に要請した」というアピールではなく、国民の生活実感に基づいた持続可能な経済政策です。単に給与が増えるのではなく、手元に残るお金が増え、「これなら子どもを持てる」「将来に希望が持てる」と思えるような社会を目指す必要があります。

結論:賃上げと並行して「可処分所得」を重視せよ

賃上げは重要な手段のひとつですが、それだけでは生活の質の向上にはつながりません。消費税や社会保険料など、間接的な負担をどう軽減するかにこそ、政府は真剣に取り組むべきです。政治家の「やっている感」ではなく、国民一人ひとりが「変わった」と実感できる政策の実現が急がれます。


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