
2025年7月28日、J2のモンテディオ山形が欧州フランス1部のRCランスを迎えた国際親善試合がNDソフトスタジアム山形で開催され、1-0で山形が歴史的勝利を収めました。スタジアムには約1万6000人の観客が集まり、夏の山形にヨーロッパの空気が流れ込みました。
試合を決めたのは山形の集中力と走力
山形は前線からのプレスと組織的な守備で、昨季フランスリーグ1で降格したRCランスを封じました。試合開始から落ち着いた入りを見せた山形は、後半にセットプレーから熊本が得点を奪取。その後も集中力を保ち、ヨーロッパの強豪相手に一歩も引かない戦いを続けました。
中盤の連携、サイドからの縦のスピード、そして守備陣の粘り強さはJリーグでも上位に通じるものがありました。
75分から出場した伊東純也が示した「別格」の力
RCランスの注目選手、伊東純也は75分から途中出場。限られた出場時間ながら、スピードとドリブルで山形守備陣を切り裂き、何度も危険な場面を演出。山形の勝利を称えつつも、伊東の個としての力はやはり「別格」でした。
伊東は試合後、「日本でプレーできて楽しかった。山形のチームとしての連携は素晴らしかった」とコメント。山形の選手にとっても欧州トップ選手のレベルを体感できる貴重な時間となりました。
山形の“現実”──J2リーグでの低迷と昇格への壁
この一戦は大きな成功に終わりましたが、モンテディオ山形の今季リーグ戦を見ると、J1昇格はほぼ絶望的な位置にいます。シーズン前半での失点の多さと、終盤の逆転負けが響き、安定した成績が残せていないのが現状です。
【課題①】守備の不安定さと“つなぎ”へのこだわり
ランス戦でも見られたように、山形は後方からのビルドアップに強い意識を持っています。しかし、時にそのこだわりが仇となる場面も。安全にクリアすべき場面でもつなぎを選択してしまい、自滅的にピンチを招く癖が散見されます。
J1昇格を目指すなら、守備の基本を徹底し、試合の“流れ”を読む判断力が必要です。守備陣の補強、または意識改革が急務と言えるでしょう。
【課題②】フィニッシュ精度と試合運び
攻撃に関しても、良い形でフィニッシュに持ち込むシーンは多いものの、最後の決定力に欠けています。ランス戦では幸運な形でゴールを得られたものの、リーグ戦ではチャンスをものにできないことが課題となっています。
90分間での試合の運び方、リード時のゲームマネジメントも含めて、冷静な試合運びが求められます。
この試合がもたらしたもの──地域とサポーターの誇り
山形にとって、今回のランス戦は単なる親善試合ではありませんでした。Jリーグクラブとして、地元に誇りと感動を与える存在になれるということを証明した一戦でもあります。
チケットを手に入れたファンたちは、欧州の強豪との一戦を目に焼き付けました。そして勝利という結果が、スタジアムにいた誰もが誇りに思える特別な体験となったのです。
来季への展望──守備再建と若手の台頭に期待
来シーズン、J1昇格を目指すには、まず守備陣の刷新・補強が最優先。また、若手選手の積極的な起用でフレッシュな競争を作ることも必要です。
今回のようなハイレベルな経験を積み、プレーの幅を広げた選手たちが、J2残り試合や来季でどれほどの成長を見せるか。山形の未来には、確かな希望があると言えるでしょう。
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